Promise at Christmas
「そんな一生の別れじゃあるまいし。向こうの会社が起動に乗るまでだからすぐ帰ってくるよ」

重たい雰囲気を壊そうと、俺は何でもないふりをしながら笑顔で未来に話し掛ける。



「まだ内緒にしておこうと思ったのに。智帆にかかったら何でもばらされるな」

「どうして内緒だったの?」

「びっくりさせようと思ったんだよ。帰り、お土産は何が欲しい?」



笑顔が笑顔を呼ぶ。

俺が明るく笑顔で振る舞えば未来の表情はパッと明るくなる。



「帰ってきたら智帆と3人で遊ぼうね」

「いいけど…男と遊んでたら彼氏に怒られたりするんじゃないの?」

「その時まで彼氏ができてたらね。でも遥ちゃんだもん。大丈夫だよ」


目の前で楽しそうに笑う彼女。


だが、俺は軽くショックを受ける。

未来にとって自分は全くの恋愛対象外だということに気付かされたからだ。


気持ちを伝えることはないと思っていても、それを思い知らされると辛いものがある。

矛盾しているだろうか。



心の奥に隠している言葉を飲み込もうと、冷たい水を口にたっぷりと含んでみた。



同時に分かったこともある。


"その時まで彼氏ができていたらね"

未来の言った言葉。


…ということは、今現在未来に付き合っている男はいないということ。


最も、それは時間の問題だと考えている。

未来の好きな男はきっと…いや、確実にあの男なのだから。


しかし余計な考えを振り払おうとして、俺は他に意識を集中させたのだった。
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