Promise at Christmas
「このツリーもしばらく見納めか」


しばらく来れないと思うと感慨も一塩。

俺は目に映る景色を必死に脳裏に刻んでいく。



「だけどまだ1週間あるし、遥ちゃんがこっちにいる間にもう1回くらい来ようよ」

「俺はいいけどこのクリスマス時期に?今日いた人は?一緒にいなくていいの?」


クリスマスシーズン。

世間ではまるで恋人達の為に用意されたイベントのごとく、盛り上がりを見せている。


街はクリスマスソングとイルミネーションで飾られ、ショーウインドウもクリスマス一色。

肩を寄せ合い、幸せそうな恋人達がそこら中に溢れている。



「大丈夫。それに付き合ってないし」

言って、未来は寂しそうに笑う。


その表情を見て胸が痛みながらも、俺は聞かずにはいられなかった。

「でも好きなんだ?」



そして彼女は俺の質問に表情1つ動かさないで、ゆっくり…はっきりと答えた。

「うん。好きだよ」
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