Promise at Christmas
「ごめんね」

流れ出した涙を拭いながら未来は言う。


「付き会いたいとは思ってなかったの。ずっと憧れてて…。でも最近少しだけ話せるようになって…」



悲しみに震える彼女の肩をそっと抱き寄せてあげたくて、無意識に手を伸ばす。

しかし、自分の中にある小さな不安と戸惑い。


俺は伸ばした手を再び元の位置に戻した。



「智帆には言ってないんだけど、愁君…あの後、女の子に会いに行ったんだあ…」

あははと無理して笑う未来を見ていると辛くて…


握り締めた手の平がさっきからとても痛い。

彼女の心が他の誰かに傷つけられているのが許せなかった。


「愁君かっこいいから…だ、だから周りにいつも綺麗な女の人がいて…あたしなんて到底敵わないし、話せるようになっただけでも凄いことなのに…って何言ってるんだろ。こんな話されたら遥ちゃんも困るよね。ごめ…」

言いながら未来は再び涙を流す。


そんな未来が愛しくて、この手で守ってあげたくて…


「馬鹿。何言ってるんだよ。もっと自分に自信持てって」

身体に入りきらないほどの溢れる気持ちを隠し、包み込むように彼女を抱きしめてそう言うのが精一杯だった。
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