夜空に恋するわたしたち ~素直になれたら~
―ピッ―



携帯を切り、カバンを持って


「よいしょ」と立ち上がる。



と、その時――



―― バサバサ ――




カバンのチャックを閉め忘れて、中に入ってた スケッチブックの紙が勢いよく 落ちてきた。





「あぁ―っ! もう… めんどくさいなぁ…ι」




ハァ― とため息をついて、私は落ちた紙を広い集める。




そのたくさんの紙に描いてあるのは……



マンガのようなタッチのこれまた たくさんの絵。






もちろん、私が描いたもの……





しばらく、私はその絵を見つめた。






“響華だって夢があったじゃんっ!!”





実聡(アイツ)の声が頭の中で響く。




私の夢……





…っ、そんなもん 持ってたって 何の意味もないっ!!






私は落ちた紙を適当にかき集め、カバンの中に押し込んだ。





私は夢を……



ずっと昔に捨てた…



叶わないってわかったから…



私らしくもない夢だった……




― マンガ家になること



それが私の夢…だったんだ。







「……はぁ。 早く行こ。」




また 私は深いため息をついて、 いつの間にかどんよりと重くなってしまった空を見つめ、 たった一人しかいなかった 虚しい屋上を後にした。




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