゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
【葵side】
◆◆◆
「何考えてんだあいつ。」
放課後
俺は一冊の文庫本を手に、図書室へ向かっていた。
何故か俺の下駄箱に、あいつ…杏のいつも読んでいる文庫本が入っていた。
今日は杏を一度も見てない。
昨日の昼休みに別れたっきりだ。
それも、ケンカみたいなことになった。
あいつの…あんなに怒ったところ、初めて見た気がする。
俺も…言い過ぎたかもしれない。
それなのに
なんで文庫本なんか…
考えながら歩いていると、
図書室についた。
戸をあけると、図書室独特の古びたような乾いた空気が俺を包み込む。
杏はこの感じが好きらしい。
俺も好き。