゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
不思議に思いながらも、つられてそのミルク味の飴を1つ頬張る。
美味い。
思わず顔の筋肉が緩むのが分かった。
仕方がない、この飴はそれくらい美味いんだ。
それにしても、杏のやつどこに隠れ…
「ん?」
手に持っていた包み紙の内側に目がいく。
何か書いてあるぞ。
ヨレた包み紙を広げてみると、そこには…
“ごめんなさい。”
細くて繊細、
でもしっかりとしたまとまりのある字。
少し文字が左に傾いてる。
名前なんかなくても分かる。
杏、お前だろ?
いつも本貸し出しカードで見てるんだからな、お前の字。
「何だよ…お前が謝るなよ。」
もしかしてと思い、残りの2つの飴も包みを開けてみる。
そこには…
“ありがとうございます、
いつも一緒にいてくれて。”
ったく…照れくさいだろ。
そしてもう一枚の包み紙には…―――――
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「遅いんだよ。…杏。」
俺は文庫本とほんのりミルクが香る包み紙を握りしめ、図書室を飛び出した。
そう、いつもの場所に。
“好きです、先輩。”