゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
フゥとひと息ついた先輩は、屋上のフェンスにもたれていた私のもとにスタスタとやってきた。
私の前で立ち止まった先輩を見上げる。
前髪がちょっと汗で濡れてる…
かっこいいな。
なんてのん気なこと考えてる場合じゃないよ!
「先輩…その…あの…えっとっ…」
先輩の“飴3つ”発言で完全に私の気持ちは知られちゃってるわけで…
恥ずかしすぎて目も合わせられず、何から喋ればいいのかも分かんない。
「あの先輩、原田くんのことですけど…」
やっとのことでひとまず、原田くんに断ったことを話そうと喋りかけた私…だったんだけど、
――――――――ガシャン。
背にしたフェンスの揺れる音。
「ちゃんと…ちゃんと俺の目見て話せ。」
私の顔のすぐ真横に手をついて、私を見下ろす先輩。
出た、いつもの俺様S王子。
ちょっとドキュンとしてしまう私。
不思議な魔法にかかったかのように、私は見上げて先輩の目を見つめた。
それくらい先輩の低くて通るその甘い声に惹きつけられてしまう。