゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚



「私のこと、面白いだの可愛いだの、
そんなおかしなこと言うのは先輩くらいでした。」


「フッ…そうだったか?」


「はい。」



正直な私に、先輩はちょっと苦笑い。



「私…母親のことがあってから、友達も居場所もなくして…本当にひとりぼっちでした。寂しいのに寂しくないって…私はひとりでいいって…強がってた弱い私がいたんです。」



いつの間にか落ち着いて、そんなことを話し始めていた。



先輩はそんな私の話を、ゆっくりと優しく頷きながら聞いてくれた。



こんな時の先輩は、いつもの俺様S王子の顔はどこへやら…とてつもなく優しい顔。


みんなが知らない私だけ知ってる顔。



「食べることも身体が拒否して、痩せてく一方で…みんな私を見た目だけで判断して私も本気でぶつかってなかった。
そんな私を変えてくれたのが先輩です。」



先輩と出会えてなかったら、私は変われなかったと思う。



先輩が私と真っ正面から向き合ってくれなかったら、きっと信じることができなかったと思う。



先輩の優しさに触れなかったら、恋をする気持ちを知ることはなかったかもしれない。



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