゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
「『ねこのあしあと』
っていう絵本あるか?」
「……………………ップ。」
思わず吹きだしてしまった。
そのクールフェイスで『ねこのあしあと』って真面目に言うから…
今回だけじゃない。
昨日は『いぬのあしあと』、
一昨日は『うさぎのあしあと』。
この動物の生態シリーズを毎日借りにくる。
初めて先輩が図書室に来たときは、難しそうな哲学的な本を読んでたのに。
高原先輩が『ねこのあしあと』を読んでいる姿を想像すると…っぷ。…面白い。
あ、って…何私楽しんでるのよ。
「笑うな。
で、あるのか…『ねこのあしあと』」
「ありますよ、ちょっと待って下さい。」
いけないと思いつつも笑いそうになるのを必死に堪えながら、受付のイスから立ち上がる。
生物・動植物のコーナーから『ねこのあしあと』を探す。
ねこ、ねこ…ねこのあしあと………あっ。
「あった……………………た、高い。」
『ねこのあしあと』は惜しくも本棚の一番上にある。
もちろん、私の背じゃ届かない。
さぁ、どうする。
とりあえず、イスだ。
私はそこら辺にあった木製の古いイスを持ってきてそこに上り、本棚の一番上へと手を伸ばした…――――――――――――
「…きゃあ!」
油断した。古い木製のイスはぐらついたが最後、後ろ側へ倒れた。