゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
――――――ガラッ。
最近どうも調子の悪い図書室の戸。
力を入れて開ける。
先輩が開けるとすんなり開くのになぁ。
戸もイケメンには弱いのかなぁ。
「あれ…?」
図書室の中を見渡す。
「先輩~?」
いつもなら『遅い、待ちくたびれた。』なんて俺様発言で出迎えてくれるのに。
先輩がいない。
今日は私が早かったかな…?
なんて嬉しくなってると、ポケットの中の携帯が震える。
「えっと…新着メール…フォルダ…」
めったに使うことのなかった私の携帯は最近活躍するようになった。
だから、使い方がいまだにぎこちないんだよね。
画面には“葵”の文字。
「あ、先輩からだ。」
“先輩”とアドレス帳に登録していたら、『先輩じゃわかんないだろ~が。』と無理やり先輩が“葵”と変更した。
“葵”と名前が表示されるたびに胸がきゅんきゅんする。
【本文:悪い、急用ができた。先帰る。】
いつもこんな簡単な本文だけど、何でだろうね…好きな人からのメールってすごく嬉しくなっちゃうんだ。
急用ってなんだろ…?
まさか、大吾さんやえみさんに何かあったわけじゃ…!?
とりあえず、お店行ってみようかな。
私は心配になりながらも、学校をでて先輩の家にむかって歩き出した。