゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
廊下にはイケメン王子が現れたとキャッキャッと騒ぎまくる女子達。
その中心に、爽やかすぎてミントの香りがしてきそうな高原先輩。
…と何とも不釣り合いな私。
何で私は呼び止められたんだ?
はっきり言って迷惑なんですけど。
だって私目立ちたくない。
そんな私の気持ちなんか知らない高原先輩は、
「お前、この前はよくも言い逃げしたな。話途中だったぞ。」
「別に、私は話などありませんので。」
「お前はなくても俺はある。」
何ですかこの俺様発言。
というか、私この場から今すぐいなくなりたいんですけど。
…周りの女子達の視線が刺さる。
「分かりました。またお話聞きます。」
「じゃあ図書室開けとけよ。」
「はい分かりました。」
そっけない返事を返すと、高原先輩は何故かフッと小さく笑みを浮かべた。
何だかよく分かんない。あの先輩。
「じゃあな杏。ちゃんと授業受けろよ。」
「いつもちゃんと受けてます。先輩じゃあるまいし。」
嫌みで言ったはずなのに、先輩は私の頭をクシャッとするとくるっと回れ右をして、3年の教室へと帰っていった。