゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
先輩はクスクスと笑いながら、『ねこのあしあと』を私の方へ差し出した。
私はそれを受け取り、返却カードにしるしをつけたりした。
「おい、杏。」
「え?」
私は突然名前を呼ばれ、思わずパッと顔を上げた。
その瞬間…
――――――――――パクッ。
間抜けなことに半開きの口だったらしく、先輩は私の口に何かを入れた。
反射的にそれを受け入れてしまった私は、もっと間抜けな顔をしてると思う。
あ…キャンディーだ。
優しいミルク味。
口の中にはふわ~と優しいミルクの甘さが広がっていた。
…美味しい。
「うまいだろ、それ。」
「…はい。」
素直に頷いてしまった。
だって、聞いてきた高原先輩があまりにも優しい表情だったから…。
「なぁ、杏。」
「はい?」
またも素直に返事をしてしまった。
何でか分かんないけど。
次の瞬間、高原先輩の言葉に私は今までにないくらいびっくりしてしまった。
「俺がお前を変えてやるよ。」
そう言って、高原先輩はフッと優しく微笑んだ。