゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚



その後、お店を出ると先輩は私を送ると言ってくれたから…お言葉に甘えた。



家までの道を先輩と並んで歩いた。


陽が長くなかったけど、すでに空は薄暗くなっていた。


いつもは一人で歩く、何もない道だけど…隣りを歩く高原先輩を見上げると、ちょっと不思議な感じがした。



「お前さ…」


「はい?」



無言だった先輩が急に話しかけてきて、少し驚きながらも返事をした。


高原先輩は歩きながら、私の方を向いた。


「嫌だったら答えなくていい。
…昔から、今みたいに痩せてたのか?」



まるで小さい子に訊ねるように、優しい口調で高原先輩が私にそう聞いてきた。



「…中3の頃からです。」



少し上からの先輩の優しい視線に合わせることができず、私は前を向いたまま…小さい声で答えた。



先輩は“そうか”…とだけ言ってその後はもう何も言わなかった。



きっと私がこれ以上何も話さないと、分かったんだと思う。



その通りだ…私は何も話さない。


誰にも話したくない。




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