゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
「ここでいいです。すぐそこなので。」
「そうか。」
ちょうど住宅街の角を曲がったすぐにあるもうめったに使われない古びた公衆電話のボックスの前で立ち止まった。
「ありがとうございました。」
「いや、俺こそ無理に連れて行って悪かったな。」
「いえ…。クッキー美味しかったです。」
「そう…親父達喜ぶよ。」
高原先輩は照れくさそうに笑った。
何だか放課後のあの時間だけで、高原先輩がどんな人なのか分かった気がする。
学校で女子が話してるクールで笑わない高原先輩のイメージなんかどこかに飛んでいった。
「気をつけて帰れよ。」
「はい。」
「明日、7時半にここな。」
「…はい。」
「ん、じゃあな。」
――――――――ポンポン。
先輩はフッと微笑みながら、私の頭をポンポンとした。
その瞬間、体中が熱くなった。
なにこれ…?
先輩は私の頭から手を退けると、回れ右をしてまた来た道を歩き出した。