゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
□■第2章■□
「幸せのつけ」
人は幸せを願う。
でも、それにはツケが残る。
私は今、そのツケを背負って生きている。
でも、あの頃の苦しみを思えば…
そんなツケ、どうってことない。
――――――――・・・
中3になりたての14歳の春、
私は母親に捨てられた。
…同じ住まいに居ながらも。
古いアパートの狭い2畳半の部屋に。
『お母さん…』
『・・・・』
『ご飯は…?』
『うるさい。』
『でも、お母さ…』
『お母さんなんて呼ぶな!
あんたなんか知らない。
食べたいなら、自分でなんとかしな。』
すべて放棄された。
食事を作りたくても冷蔵庫にはお酒かおつまみしかない。
材料を買いたくても、お金はない。
すべてを放棄された私は、お小遣いなんてものはない。
14歳で働くことなんてできない。
所詮、子供は親に頼るしかない。
育児放棄をした母親は、男を作ってめったに家には帰ってこなかった。
たまに帰ってきたと思ったら、気まぐれで千円札を2枚置いていく程度だった。
2千円で1ヶ月暮らしてなんていけない。
私は1日食べるか食べないかの生活を送りながら、学校へ通っていた。
母親に捨てられて3ヵ月経つ頃には、貴重な食事さえも体が拒否反応を起こすようになっていた。