゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
ふと、返却ボックスに入っていた小説を手にとった。
その本はひと昔前に大ブームを巻き起こしたラブストーリー映画の原作となった本だった。
冴えない女子が学校の人気者でプレイボーイと言われるくらいモテる男子に一目惚れされ、いじめやさまざまな苦難を乗り越え結ばれるという話。
「何が面白いのよ、恋愛なんて。」
全くこの本の良さが理解できない私。
冴えない女子は、ずっとひっそりと影で学校生活を送るの。
学校一のモテる男子が一目惚れ?
そんなの所詮本だけの世界。
フィクションよ、フィクション。
この通り、からきし恋愛なんて興味もない私なわけで…。
「平凡が一番。」
そう言って、のそりと立ち上がり読みかけだった推理小説を本棚へと戻し、鍵を閉め図書室をあとにした。
そんな平凡で、ひとりの時間も…
なくなってしまうなんて。
…あなたに出逢ってしまった為に。