゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚



それから祖母の家に引き取られた私は、高校に上がるまでの間、病院に通ったりしていくらか心身的に回復した。



祖母と祖父は、めったに笑顔を見せない私にずっと笑いかけてくれた。



祖母なんかは、一緒にお風呂に入って痩せて骨ばった私の体を優しく洗ってくれた。


そんな暖かい祖父母のおかげで、私は閉ざしてしまった心を少しずつ開くことができた。


今の高校へ入学してからも、この痩せて気味の悪い見た目で私に近づいてくる友達はいなかった。



そして、傷つくことのないひとりを守って学校生活を送ってきた。



今まで人と向き合ってみよう、関わってみようと思わなかった私が…



高原先輩に出逢って、



ちょっと他人に興味をもった。



『俺がお前を変えてやるよ。』



そんな信じるあてもない言葉に
私はちょっとした期待をもった。



私は変わらない。


このままの自分でいい。


変わることでまた苦しまないといけなくなったとしたら…


だから私は変わらない。



でも、高原先輩は私をいい方向に変えてくれるかもしれない。



なんて、矛盾した私が心の奥の片隅にいるのもまた…事実。




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