゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
“ハリガネ女”
高校に入学してクラスの男子にそんなあだ名で呼ばれてひどく傷ついた私は変わろうと、努力だってした。
元の体型に戻そうと、
太れるような食事をとることにした。
でも、
その食事が人並みに喉を通ることはなかった。
口に入れては吐き気がして、もどす。
また口に入れては…
何度も同じことを繰り返すだけなのに、
少しも前に進むことはなかった。
ふとした瞬間、私はひどく虚しくなった。
なんでこんな辛いことしてるんだろ。
“ハリガネ女”なんて呼ばれたって気にしなきゃいい。
ひとりの空間だと思えば、どうってことないじゃない。
私は無理して元の体に戻すことをやめた。
そして今に至る。
朝はオレンジジュースだけ。
昼は果物の入ったゼリー。
夜はお祖母ちゃんが腕によりをかけて作るご飯をひと口ふた口、口に入れるだけ。
最低限のものくらいしか受けつけない体になってしまった。
それもあの中3の頃の悪夢のせい。
私を捨てた最低な母親のせい。
…変わり果てた私を見捨てて
離れていった友達のせい。