゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚



「ほら、やり直し。」


「んむぅ……」



挨拶のやり直しって何よぉ…。


恥ずかしいよ…
高原先輩の顔はまともに見れないよ。


見ると、しらっとした表情で私のおはようを待つ高原先輩。



「お、おはようございます。」



こんなにも緊張する挨拶なんて初めてだ。


「ん、上出来。」



高原先輩は、あの優しい笑顔でそう言うと私の頭をポンポンとした。


あ…また。


先輩に優しく触れられた頭から一気に足の先まで熱くなった。



「よし、ご褒美だ。…これやる。」



右手の手のひらに置かれたもの…それは、



「今日はマスカット味だ。」


「ありがとうございます。」



透明な包み紙に包まれた黄緑色のマスカット味のキャンディー。


あ、そういうば先輩…さっきからマスカットのいい匂いがしてた。


私と高原先輩は、並んで歩き出した。



「高原先輩って、
いつも飴持ってますね。」


「まぁな。」


「甘いもの、大好きなんですね。」


「まぁな。…あ、
今、男のくせにって思っただろ。」


「思ってません。」



前を向いたまま答えた私に、先輩は目を細めじっと見つめてきた。




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