゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
「キャー王子~♪♪」
「今日もかっこいー♪」
こんな女子の声が飛び交う。
マンガみたいな場面だ。
「なんでハリガネ女が一緒なわけ?」
「意味わかんないんだけど~。」
「離れろっつーの、キモいんだよ。」
そんな女子の罵声が私に突き刺さっていく。
少し前を歩く先輩は全く気にすることなく平然としている。
私は先輩と距離をあけた。
すると、
「杏。」
「は、はいっ。」
「気にするな。
俺にちゃんとついて来い。」
振り返った高原先輩は、まっすぐ私の目を見た。
何でかわからないけど、私は先輩のところまで駆け寄って隣に並んだ。
隣を見上げると、フッと微笑んだ先輩。
「お昼、屋上にこいよ。」
下駄箱のところまで来ると、先輩は私にそう言って…3年の教室へ行ってしまった。
私は周りの視線が気になって、そそくさと教室へ向かった。
ふぅ…気にするなって、
気になっちゃいます。
先輩はいつもあんな視線を浴びながら、
学校に通ってるんだ。