゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚



私はぽてぽてと先輩の座ってる隣りまで近づくと、ゆっくりと座り込んだ。



「ん。」


「何ですか、これ。」



座り込んだ私の前に先輩が突然、小さな保冷バックを置いた。


私が不思議そうな顔で先輩を見ると、



「お前の昼飯だ。」


「はい?」



当たり前のように言って退けた先輩。

ますます分からない。


とりあえず、保冷バックを開けてみた。
中には小さなお弁当箱。


取り出してゆっくりフタを開けてみると、色とりどりの野菜がたくさん入って、ひじきの煮物とかも入った健康的なお弁当だった。



「母さんがお前にってよ。」


「お母さんが…?…私に?」


「あぁ。少しでも食べれたらだってよ。」


何で私にそんな…


まるで私がご飯食べれないって分かってるような…


私がじっとお弁当を見つめながら考えていると、



「母さん、お前見て飯がなかなか食えないって分かったらしくて…何かしてやりたいって、それでそんな弁当作ったんだと。」


自分用の大きいお弁当の卵焼きを頬張りながら、チラリと私を見ながら先輩は言った。


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