゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
――――――・・・30分後。
「こ、これ…誰ですか?」
「何言ってるの~!
間違いなく杏ちゃんよ♪」
うそ…。
私は目の前にうつる人物を自分だと信じられないでいた。
だって、だって…
「ふふ、ちょっと思い切っちゃった♪」
おちゃめに笑う鈴さん。
思い切っちゃった結果、私の髪の先は肩上にある。
ワックスでふんわりとした毛先に、綺麗に揃えた短めの前髪。
なんか…私じゃないみたいだよ。
「さて、王子さまも待ちくたびれてる頃ね…あっくーん、入っていいわよー♪」
鈴さんは先輩を呼んだ。
そして鈴さんが“惚れ直しちゃうわね”
なんて耳元で言うから、真っ赤になってしまった。
もちろん、否定したよ?ちゃんと。
「鈴さん、向こうクーラー効いてな…」
制服のシャツをパタパタさせながら、ドアを開けた先輩は言いかけていた言葉を止めた。
汗かいただけなのに、先輩…かっこいい。
そんなバカなことを考えてる私を見たまま先輩はしばらく固まっていた。
もしかして…変なのかな?…私。
なぜかおかしいくらい不安になってる私。