゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
驚いた瞬間で、私は何故かその男子のすべてを観察してしまっていた。
背が高くて、髪は黒くて短めで、シャツのボタンは上まで留めてあって…ちゃんとネクタイも締めてある。
清潔感のある好青年といった感じ。
それより何より、一番に目を引くのは…
「何だよ、聞いてるのか?お前。」
黙ったままの私にイラついてるのか、軽く不機嫌そうにそう聞いてきた。
不機嫌そうに歪めてるその顔…
目は二重だけど少し切れ長で、右目には泣きぼくろがあって、スッと鼻は通ってるし薄めの形のいい唇。
私は一瞬で分かった。
あれだ、この人。
俗にいう、イケメン男子ってやつだ。
私はそれで納得した。
「いえ…誰も来ないだろうって閉めようと思いましたけど、まだ開けときますよ。」
私はその人にそう告げるとまた、図書室の電気を付けいつもの定位置に座った。
その人はポケットに手を突っ込んだまま、スタスタと図書室の奥の本棚のほうへ歩いていった。
そして私でも読んだことのない、哲学書みたいなものを一冊手にとり近くの席に座って読み出した。
それを私はなんの理由もなく、ただボーっと見ていた。