゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
先輩によると、私を家まで送った帰り…おばあちゃんが走って追いかけてきたらしい。
それで、あの最悪な過去を聞いたらしい。
母親に育児放棄をされ、捨てられたこと。
身体的、精神的にボロボロになってたこととか…
「そうですか…全部聞いたんですか。」
あんな過去…誰にも知られたくなかった。
先輩には…特に。
「苦しいか?今も…」
薄暗くなってきた公園。
でも、先輩がしっかりと私を見ているのが分かる。
「苦しいです。」
苦しくない訳ない。忘れられる訳ない。
どんなに泣いても、恨んでも、
あんなに苦しかったことを頭から追い出すことができない。
どんな時でも、あの頃の母親の私に対する冷たい目とか…孤独感とか…蘇ってきて、私を苦しめるんだ。
―――――――ギュッ。。
え?
「先…輩?」
「…悪い。もう思い出さなくていい。」
ギュッと痛いくらいきつく抱き締めてくる先輩の優しい声が耳元で聞こえた。
しばらくの間、とくんとくん…という先輩の規則正しい心臓の音を感じながら、私は涙を流した。
いつの間にか頬を伝っていた涙は、先輩のシャツにシミを作ってしまうくらい止めどなく流れた。