゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
「誰も何も言ってくれませんでした。」
ただいまお昼休み。
屋上でいつものように先輩とお昼ご飯。
お祖母ちゃん特製のお弁当を噛みしめながら、先輩に今朝の報告。
「フッ…最初はそんなもんだろ。」
大したことじゃないとでも言いそうな先輩の反応にちょっとムッとする。
何よ。やっぱりこの人は私を虚しい気持ちにさせて楽しんでるのか?
「先輩、明日もやらなきゃ駄目ですか?」
いくら私が変わるための計画だとしても、今朝みたいな感じは正直きつい。
すると、さっきまで大きいお弁当を持っていた左手にいつの間にかプリンに持ちかえている先輩は…
「明日もだ。これから毎朝。」
悪魔のような笑み。
がっくしと肩をおとす私。
「いいか?人として挨拶をするってことは大切なことだ。」
「でも…」
「とにかく、無視されても何も返してもらえなくても自分から毎朝挨拶するんだ。
…わかったか?」
今朝みたいにシーンとしたあの空気、
絶対やだよ…
「…はい。」
それでも素直に返事をしてしまったのは…
「よし、いい子だ。仕方ない、半分やる。」
くしゃっと笑った顔と食べかけのプリン。
そんな風におっきい手で優しく頭を撫でるから…
素直になっちゃうんだよ…私。