僕の上司は彼女です。
「チカさん…マジ感謝っす。
チカさんが上司で俺、幸せっす…」
「本っっっ当に調子いいよね、島崎って!!」
「あ、お礼に今度奢りますよ。ソーメンとかどうっすか??」
「あんた、ケンカ売ってんの!?
何でソーメンなのよっ!?
もっとリッチな物奢りなさいよ!!」
「………。」
チカとのやりとりはいつもこんなんだ。
敬語とタメ語まじりで話して、みんなと同じに“チカさん”って呼ぶ俺と、あくまで上司のチカ。
でもお互い絶対昔の話はしない。匂わせるような素振りもしない。
それは暗黙の了解だった。
ここで初めて会った、上司と新入社員。
周りからも当然そう見えてるだろう。
きっと本人達もそう思ってる。……そう思いたい。