僕の上司は彼女です。
そこまで考えて、馬鹿な自分に笑いが出た。
今更何言ってんだってな。
つぅか、さっき水かけられた女のことより、遥か昔の女を思い出すなんて。
「やっぱ俺、最低だわ。
ハハッ!」
乾いた笑いが夜の闇に溶けて消えた。
もうアケミちゃんから連絡がくることもないだろう。会うこともきっとない。
今日のことはきれいさっぱり忘れて、俺も帰って熱い風呂に浸かってとっとと寝よう。
まぁ、真冬だから当たり前だけど…寒い。
しかも、水かぶってるから尚更寒い。
このまま外にいたら確実に凍死する。
ブルル…っと身震いがして、俺は小走りに家に急いだ。