僕の上司は彼女です。
真夜中の差入れ
「いらっしゃいませ~」
やる気のない店員の前を通り過ぎ、商品を次々とカゴに入れていった。
あぁ、そうだ。
これも…それからこれも。
あ、これも好きだったな…。
へぇ~…こんな味がでたんだ…。
1人、ブツブツ言いながら大量になったカゴをレジへ持っていった。
「ありがとございました~」
その声を背中でききながら俺は来た道を戻り、会社に引き帰した。
――――――…。
―――――――…。
そこは数十分前と何ら変わりなく、ただ5階だけが薄ボンヤリと明るくて忙しなくカチャカチャとパソコンのキーを打つ音だけが響いていた。
静かすぎる会社の中を、なぜか足を忍ばせながら。
でもレジ袋をガサガサいわせて俺は5階を目指した。