僕の上司は彼女です。

「さてと…。
じゃあ、出陣と行きますかね」


口元を意地悪くつり上げてそう言うと高級車は滑るように発進した。


―――――…。
――――――…。

変な感じだ…。

チカの運転する車に乗るなんて。


大学の時は俺の軽自動車の横がチカの特等席だったのに…。


しかもお気に入りのCDはいつもいつでもエンドレスでリピートだったな…。


だからいつもチカが好きな曲は、聞き過ぎて俺は嫌いになるんだ。


その内チカも免許を取り、何度か横に乗った事があったけど……死ぬほど怖かったのを覚えてる。


それが今じゃ…左ハンドルの高級車を転がせれるなんてな…。

しかも俺は横…。


少し悲しい現実と、淡い昔を思い返してしんみりしている間に車はグリーンガーデンに到着した。
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