僕の上司は彼女です。

たっぷりと待たされて、漸く出てきた池内部長とやらは腹が突き出た中年親父だった。


メタボ街道まっしぐらなその体は、期待を裏切る事なく額には汗が浮き出ていて。


チカが後部座席のドアを開けて池内部長が乗り込む時、チカの胸元をチラッと見たのを俺は見逃さなかった。


うわぁ~…。
面白いほど社長の言う通りだ。


そう実感できると、だんだん自分の中にあった不安が晴れていくようだった。


座り心地までも最高級品の後部座席のシートに座った池内部長は、料亭に着くまでずっと嫌味を言いっぱなしだった。


『大将自らがこないとは礼儀がなっとらん』だの『これだから若社長さんは世の中を分かってない』だの…。


俺がしでかしたミスだから言えた義理じゃないが……マジむかつくぜっ!
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