僕の上司は彼女です。
だけどチカは違った。
運転しながらルームミラー越しに笑みを浮かべ「恐れ入ります」だの「貴重なご意見、感謝します」だの…うまくあしらっていた。
完璧だ…。
すげぇぜ、チカ…!
………だけど俺には見えるぜ、額に浮かぶ怒りマークが…。
そしてハンドル握る手にものすっっげぇ力がはいってて、今にもミシミシ…って音がしてきそうなことも…。
怖ぇよ…。
その笑顔が特に。
色んな意味で冷や汗をかきながら俺はとりあえず沈黙を守り、早く料亭に着く事だけを祈った―――――。