僕の上司は彼女です。

年を重ね、苦労を重ね…恋を挟んで愛で包んだような内面から溢れ出る大人の気品と色気。


きっとここに通う客はみんな女将会いたさだな。


『最高の気分から転落さしてやりたいからなぁ……』


フラフラついていく池内部長の後ろ歩きながら、今朝の社長の言葉が蘇った。


あの時、チカに車の鍵を渡した後、社長はこう続けた…―――。


「う~…ん。

お前じゃまだまだお子ちゃまなんだよなぁ~…」


顎に手を当てて、たっぷりチカを頭の先から足の爪先まで見てから社長はそう言った。


「はっ!?」


いきなりの暴言にチカは社長を睨むも、そんなことは気にもしない社長はどんどん地雷を踏んでいく。


「何だろうな~…??

多分“色気”なんだよなぁ~。お前……ないもんなぁ…」
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