僕の上司は彼女です。
「外は暑かったでしょう~?
すぐ冷たい飲み物お持ちしますね?ごゆっくり…」
そう言って部屋を後にした女将。
通された部屋は、畳の香りが残る十畳ぐらいありそうな広い部屋だった。
女将が去った後すぐに、チカは三つ指を突いて
「池内様、この度は我社の手違いでご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません」
…平に謝り出した。
だから俺も慌てて、座布団から降りて正座して
「申し訳ございませんでした。
僕が入力を打ち間違えたんです、すいません!」
…って頭を下げたけど…。
「ほほぉ~…?
君のミスかね。いやぁ~…うちは万々歳だよ、あんなに安くで見積もってもらって申し訳ないぐらいだ。
だけど今更『間違いでした。ごめんなさい』なんて通用しないよ?」