僕の上司は彼女です。

「誰一人として社長を庇う事も、止めることもなかったみたい。

電話が鳴る度に胃が痛かった~って言ってた」


「何で電話?」


「社長宛の注文や打ち合わせの電話だったら嫌味だからよ。

しかもその電話を仕事のない先輩が取って『遠野、1番に電話だ。仕事のな!』なんて言われた日には肩身が狭いなんてもんじゃないわよ」


「うわぁ~…それは辛い!

だけど随分と子供ッポイことすんだな~?」


「まぁね…。
だけど“才能”…って言うのかな?

産まれ持った天性みたいなものは、求める人間に必ずしも与えられるもんじゃないからねぇ…。

才能ない奴に限って『何であいつばっかりー!』って妬みたくなるんじゃない?」


「そう言われてみれば…そうかもなぁ?」
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