僕の上司は彼女です。
「…そうね。変わってた…かもしれないね。
ちゃんと……言えてたら」
「………うん?」
「女の子と腕組んでラブホに入ろうとするあんたの背中に膝蹴りでもくらわしてたら何か変わってたのかしら?
『わけわかんない女に別れてとか言われたんだけど!』って、その女の前であんたにチクッてりゃ何か変わったのかな?」
「………………いや、それは…何とも…」
まさかの返答に、汗がダラダラ流れ出てきた俺をアハハ!と笑うチカ。
「ちゃんと………。
ちゃんと『私だけを見て!』って言えてたら……変わってたのかな、恭介。
今とは違う未来があったのかな…」
笑ってたくせに…。
突然寂しい目をして、ポツリ…とこぼしたチカの言葉に胸が痛いくらい締めつけられた。