僕の上司は彼女です。

慌てて追いかけようとしたけど、俺の腕を両手で掴んで行き手を阻むマリちゃん。


「待って…!行かないで!」


「ごめん、マリちゃん!
俺、急ぐんだっ、ごめん!」


心も体も意識もここにあらずで、チカを追いかけることしか頭にないまま腕を離してもらおうとしたけど…


「もう…『ごめん』はいい!聞きたくない!

昨日もそう言って帰ったじゃない!マリの告白……なかったことにしないでっ!」


初めて聞くマリちゃんの大きな声に、昨日の情景が蘇った。


あぁ、そうだ…。

俺、昨日マリちゃんに「好き」って言われた直後に会社から呼び出しくらって…。

その場に放置して大慌てで会社に戻ったんだった…。


昨夜のかなりの失礼さを思いだし…追いかけるのをやめた。
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