僕の上司は彼女です。
「マリも帰るとこだったから…鞄とってきます。
外で話しましょう?」
座敷の方に歩いて行く彼女の後ろ姿を見送りながら俺は水を一杯飲むと、今日こそ決着の時だ…と気合いを入れた。
さっきチカに何を言おうとしたのか…自分でも分からない。
だけどあの寂しい顔を見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。
勢いと言えど…伝えたかった想いがあったのは事実。
だけど、今はマリちゃんだ。マリちゃんとのことを決着つけてからもう一度チカと話そう。
その時……ちゃんと伝えよう――――――。
決意を新たに待っているとマリちゃんが現れ、騒がしい居酒屋を後にした。
今年ほどの猛暑はないと毎年言われながら、その記録をぬりかえ続ける暑さ。