僕の上司は彼女です。
そう言って笑うマリちゃんに、救われた気がした。
ありがとうと言うべきなのか、ごめんねと言うべきなのか…わからないから曖昧に笑った。
「じゃあ~…おやすみなさい」
そう言うと俺の横を通り過ぎ、角を曲がって帰って行くマリちゃんの背中を見送ると俺も今きた道を帰った。
家に着くまでの間チカを想った。
昔好きだったチカ。
そして…今また好きなチカ。
いや、もしかしたらずっと好きだったのかな…。
散々遊んできた俺だけど、チカの前も後も“彼女”って言える相手はいない。
隣りの芝生が青く見え、1人だけとしか付き合ったことがないのが急に恥ずかしく思えて……あんなバカなことをした。
それが一番大切な人を傷つけているとも知らずに…。