僕の上司は彼女です。
だけど、そんなわだかまりなんて吹き飛ばすような衝撃的な噂を耳にしたのは10月の連休明けの事だった。
連休明けのボ~…とした頭をなんとか切替えていつものように出社し、パソコンの電源をつけていると周りが何となく色めき立ってる気がした。
『まじで!?』とか『うわぁ~…ヘコむ…』とか『ついにきたか…』とか。
驚愕の声を出す人や、落胆する人…リアクションはそれぞれだけどやけににみんな賑やかだった。
そんな話し声には見向きもせず、いつも通り眼鏡を光らせながら書類に目を通している橘さんに「何かあったんすか??」ってコソッてきいたらゆっくりと顔を上げた橘さんは…
「………気の毒にな」
と、たっぷり間をあけてそれだけ言った。
「えぇ!?何がっすか!?
何すか!?俺またミスしました??」