僕の上司は彼女です。
「…はぁ…」
思わずついてしまったため息に笑いがこぼれた。
恋煩いか~?
まだまだ若いな、俺。
…なんて、落ちて行く一方な気分を自分で茶化して振り払うと、大きく息をすって真っ黒な空を見上げた。
俺の実家は結構な田舎だから星がきれいに見えんだけど…ここじゃ全然見えねぇなぁ~?……なんて思ってる時だった。
漆黒の空を見上げる俺の近くから聞こえてきた会話に、ふとそちらを見た俺は自分の耳と目を疑った。
「ねぇ~??
これからもコソコソ会うつもりなの~?」
男の腕にぶら下がりながらそう言う女と。
「しょうがないだろ~?
婚約発表したんだから尚更、大っぴらに出歩いてたらまずいだろう?」
その女をなだめる………社長。