僕の上司は彼女です。

こっちを向かないチカの背中に向かって頭を下げた。


「…あの子は…?」


「…え?」


「居酒屋で会ったあの子。………どうしたの?」


チラッと顔を上げたら、少し拗ねてるチカの横顔が見えた。


「いや…どうするも何も、あの子とは何にもないから…」


「嘘ばっかり。

恭介はいつもそう言う」


「は?」


「「あの子誰?」とか「何で女の子のハンカチが部屋にあるの?」とか。

私が聞くと決まって…『何でもない』。恭介はそれしか言わない。

そう言われたら「あぁそう」としか言えない」


…完璧、拗ねてる。

ツーンって感じにトゲトゲしく言うんだけど、何か…もう全てが可愛くて。
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