僕の上司は彼女です。
そう言って淡々と面接を進めて行くこの人は、リフォーム課主任の橘さん。俺より2つ上らしい。
辞めてく人間が多いと言われるこの会社で主任まで登りつめた彼はかなりの兵(つわもの)なんだろう。
俺の何のヘンテツもない履歴書をノンフレームの光る眼鏡越しに注意深く隅々まで見ると、漸く顔を上げた。
「前の会社が倒産したんだってね。
大変だったでしょ。
急に失業なんて困るもんね」
…あれ?
以外と優しい??
「あ、はい。
朝、出勤したらいきなり倒産だったもんですから…ハハハ」
苦笑いで答えた俺を、橘さんはジィー…と見てた。
履歴書を隅々まで見てたように俺を見たあと、眼鏡をクイッと押し上げお茶を飲むと徐に話だした。