僕の上司は彼女です。
あまりにあっさり決まったもんだから驚きで声もでなかった。
「4月1日に、何人か新入社員が入ってくんだよ。
入社式もあるし、切りもいいし島崎くんもこの際新入社員に紛れてきなよ。
新人研修もあるから会社のことも仕事内容も説明してくれるし良かったよ」
「…あ、はい…そうっすね…?」
もう何か…今は頭がショートして何も考えられない…。
「じゃあ~……俺、会議あるからこれで…。
入社式にはスーツでこいよ。9時にここにきてくれたらいいから。
じゃ、また」
そう言うと橘さんは腕時計を見て、時間を気にしながら足早に部屋を後にした。
その場に取り残された俺は…忙しなく働く背中を見送るしかなかった―――――。