僕の上司は彼女です。

社長にお酌をしに行くと、必然的にチカの側にいくわけで…。


なんだか…妙に胸がドキドキとうるさかった。


「社長、注がして下さい」って言いながらも、隣のチカを気にしてる俺がいた。


ビールをこぼさないようにとか、あの有名な社長にお酌してる!とかよりも、正直隣のチカの事が気になって気になって…それどころじゃなかった。


俺が視界に入ったか?
俺に気付いたか?

………俺を覚えてるか?


張り裂けんばかりに胸がドキドキして、恐る恐るチカを一瞬だけ見たら………チカは隣に座る支店長のお酌をしていた。


俺のことなんか全くもって眼中にないようだ…。


「がんばってくれよ?」


不意に聞こえた声に慌てて視線を戻すと、瓶ビールをかざしてご返盃を促す社長。
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