W☆
ごく当たり前の、きちんとした接客だった。

普段なら、何も感じないまま帰っていただろう。

だけど、その時の私はいつもと違っていた。


(あんなふうに仕事ができたらいいよなぁ…)


ふと、そんな思いが心に浮かんだ。


そのまま店を出ようとした時、私はたまたまドア付近の貼紙に目を止めた。


『スタッフ募集中!』


きっと、自分が思う以上に、その時の私は疲れていたんだと思う。


私はレジへ引き返し、先程の店員さんへ声をかけた。


「私、ここでアルバイトしたいんですけど」


それから一週間後、私はまさかのダブルワークを始めることになるのだった。
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