Ｗ☆

その時、ドアが勢いよく開いて、私の顔面に思いきりぶつかった。

突然の出来事に、私は声を上げることもできずに顔を押さえて立ちすくむ。


「あっ…ヤバい、大丈夫っすか…？」


ドアを開けた張本人らしき人が、私の顔を恐る恐る覗き込む。


「松本君！いつも気をつけてって言ってるでしょうが！！」


さっきの女性店員がその彼を怒鳴り付ける。

あまりの大声に、私は驚きと恥ずかしさで慌てて「大丈夫、大丈夫ですから！」と顔を上げて取り繕った。

ふと見ると、アルバイトらしき男の人が軽く180センチはありそうな背を低くして、「すみません」とバツの悪い顔をしている。

その騒ぎに、事務所の奥から店長らしき男性と、スーツ姿の男性が顔を出し、すぐに事態を把握すると、二人して頭を下げてきた。

私はその4人に囲まれてひたすら謝られてしまい、逆に慌てふためいてしまったのだった。