風のワルツ
何気に飽きない。
あれからと言うもの…毎日毎日あいつはやって来る。
昨日の日曜はいきなり家に来て、そのまま連れ出された。
その場に親がいなかったのは不幸中の幸いで…
行った場所は遊園地。
まぁ一度は行きたいと思っていたから嬉しいと思ったのは否定しない……
しかしそれも一瞬…
入場した瞬間に手を引っ張られ、走ったあげく最初の乗り物はバイキング。
まぁ1番手前だし…と思って我慢したら次に行かされたのはジェットコースター。
そのあと休みなく空中ブランコで回され…
そろそろ死ぬと思ったら極めつけにフリーフォール。
この間一切休み無し。
さすがにキレて休憩がてらお昼を食べた。
その後はゆったりとしたアトラクションに乗って、最後に乗った観覧車で彼氏彼女に勘違いされクタクタになりながら帰ってきた。
今日だって朝っぱらから遅刻ギリギリだったのだ。
昨日を振り返ってイライラしていると…
「ねぇ美里依?」
雪乃がいつの間にか目の前に…
「今らへん…屋上に行かないんだね?」
「……えっ?」
「ほら…いつもなら朝、皆より早く来て屋上に行くのに…今日なんか遅刻ギリギリだし……
早く来ても屋上の存在自体忘れてるってかんじ…」
確かに忘れてた…
毎日が忙しくて…楽しくて…
「………!」
「…美里依の恋の相手は南くんか…なるほどねぇ…
面倒がってるけど…南くんが来るようになってから毎日楽しそうだもんねっ!」
「ちがっ………くもない…」
「アハハ…素直だなぁ…ほら!王子さまのご到着だよっ!待たせんなって…
また明日ね、美里依っ」
「……うん…明日…」
「…俺が来るまで楽しそうに話してたけど…
何話してたの?」
「!!」
…言えない…
「……うん…別に…何も無いって言ったら嘘だけど何も無いよ」
「嘘なんじゃんかっ」
「あいたっ」
デコピンされた。