風のワルツ


お母さんが椅子に座って、お父さんが話し始めた。

「……お父さんとお母さんは再婚をして一緒になった…
それは知ってるはずだ…」

「うん」

そう…私はお母さんとは血が繋がってない…
だけどいつの間にか一緒にいたせいで、あんまり違和感がない。

「…お父さんの子供は笹川美里依。
お母さんの子供は南蓮人だった。
再婚したのが美里依たちが幼稚園のときだった。
2人ともお互いの親にすぐ懐いてくれて助かったんだ。
だけど…よく言ってた。
大きくなったら蓮人と結婚する…って…」

「べつにそれは…」

普通にあることって言おうとしたら、突然お母さんが話した。

「よくある話し…だったわ。
私たちも笑って受け流してた……だけど……
小学校5年になっても…2人はそう言い続けてて…兄弟は結婚できないって言ったら…


…血が繋がってないなら出来るらしーよ。俺、本気で美里依のこと好きだから…


って蓮人が言ったの。
すごくびっくりした…
まさか小学5年の子供が…そこまで知ってて、本気で好きなんだなんて……

そんな時に…2人は事故にあった。」

「えっ…」

「正確には、美里依を助けようとした蓮人が…車にひかれてしまった。
美里依はショックで事故のこと自体を忘れてた…しかも…蓮人のことまで……
蓮人は蓮人で、母さんのことも美里依のことも忘れてた。

…チャンスだと思ったよ。
これを気に、2人を引き離そうとしたんだ…

母さんの妹は身体のせいで子供が産めなかったから、喜んで蓮人を引き取ってくれた。」

「…だけど、蓮人は記憶を取り戻したの?」

「…美里依が中学3年の受験のときに妹から連絡がきて…びっくりした。
だけど蓮人は帰るつもりがなくて……でも、受験した高校は一緒だった。」



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