風のワルツ


「そだっ言うの忘れてた!お父さんがね…今度皆で夕食食べに行かないかって…
蓮人にも蓮人のお母さん達にも、ちゃんと話したいんだってさ」

「いいねっ、夕食も美里依と一緒じゃん!」

「っ!恥ずかしいこと言わないでっ!」

「…プッ…ガキッ!」

「なにをーーー!!」


いつものように過ぎる日常…
もう1ヶ月はとっくに過ぎてる…
だけどそんなこと関係ない。
目の前に大好きな人達がいて…仲良くいられる幸せ…
どうってことない当たり前の日常が…私にとっては大事な大事な宝物。


「……蓮人?」

「?なに?」

「大好きっ!!」

「…………」


蓮人の顔が近付いて…


「…俺も。」


私の唇にキスをした。


「…!」


びっくりしたけど…
すごく嬉しい。


「…!ゴメン…今の…忘れて……」

「なんで?」

「恥ずかしくて死にそう…」

「…プッ…蓮人のガキッ」

「んな…ガキに言われたくないっ!」

「じゃお互い子供だねっ」

「……まぁな。」


笑ってると、子供がよく持ってるビニール性のボールが道に転がってく。
蓮人がそれに気付いて取りに行った。


「すみませーん」

「大丈夫だよ!待ってな!そっち投げるから!!」


そう言ってボールを追いかける。
なんか嫌な感じがして、辺りを見回したら…すごいスピードでカーブを曲がってきた車がいて…携帯を見てた…


「蓮人っ!危ないっっ!!」


走った私の手が、蓮人を道路から弾き出した。




ドシャッ




「キャアアアァァァァ!!」


目の前が真っ暗な世界で聞こえたのはこんな悲鳴と…


「美里依っ!美里依ーーー!!!」


私を呼ぶ…蓮人の声…



< 18 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop