風のワルツ


朝の7時40分

学校にはまだ数人の生徒しかいない…
そんな朝一番に、私はいつものように屋上にいた。
基本的に屋上は中央階段からしか入れなくて、昼休みには人が集まる屋上には、まだ私しかいない。

屋上から下を見るといつも考える。



ここから飛び降りれば…
もうつらくないのかもしれない

と。



初めてこれを考えたとき
フェンスの外まで行った。
だけど、いざ目の前に見ると怖くなって…

…結局、飛び降りることができなかった。


それから私は朝一番にいつも一人でここにいる。
いつになったら飛び降りるのか…自分で自分を観察してる。



自殺を考えたときから…
鏡に映ってる私は、私ではなくなった様な気がする。
まるで第三者が…自殺志望者を観察しているような……
自分が死ぬことが、まるで他人事になった。



それなのに私は死ねない。
どうしても怖い…



風になっちゃいたい…
風になれば、死ぬ必要もない…怖さもなく…
皆の前から消えられるのに…




そこまで考えて、
叶わない夢を見る自分に呆れた。



「…ハァ…」



ため息をついて、教室に帰るために後ろを向いた。



「っ!!」



後ろを見ると…
さっきまで閉まっていたドアが開いていて、男の子が立っていた。



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